京大理系数学-2025年 大問4(ベクトル) 解答と解説

問題

大問4は空間ベクトルの証明問題であった。四面体が絡む問題は京大では頻出である。
個人的には今年の問題で最も取り組みにくく感じた。
文系の問題では条件を満たす点が存在することを示すことのみが要求されており、ただ一つに定まることを示さなくても良いので比較的取り組みやすかったかもしれない。
理系の(2)はおまけの問題である。(1)が出来ていれば四面体OABCと四面体PABCは底面積(三角形ABC)が等しいので体積を求めるのはたやすい、と思う。

過去の出題傾向をみると値を求めるような問題は計算も大変でなく基本~標準的な難易度である場合が多いように感じる(2023年は線分の長さの比、2022年は線分の長さの最小値、2021年は平面に関して対称な点の座標)。
一方で、論証が必要な問題では、題意自体は理解しやすい問題でも隙のない答案を作成するのがなかなか難しいものが多いように感じる(2024年のねじれの位置になるための必要十分条件を求める問題は阪大の入試でもねじれが出題されたため話題になった)。
過去問を研究してベクトルの論証問題にしっかり取り組んで対策を立てておくのが望ましい。
2002年の文系の問題は設定がよく似た問題だった。

方針

問題文の2文目に「s, t, uは0でない実数とする。」とある。これを読んだときにs, t, uで割っても問題ないんだなと思った。
実際、これらで割ってやると与えられたベクトルの式から、OAベクトルやOBベクトル、OCベクトルといった、すでに定められているベクトルが得られる。
平面LMN上の点Pに対して、OPベクトルはOLベクトル、OMベクトル、ONベクトルの係数の和が1となるように定められるので、OAベクトル、OBベクトル、OCベクトルに置き換えてやれば、A, B, Cが定点であることから平面LMN上に定点が取れることを示せる。

問題はこのあとである。ただ一つに定まることを示すのが難しい。
二つの平行でない平面の交わりが直線となることがイメージできれば、s, t, uが条件である方程式を満たしながら動くとき、sを固定してやるとt, uが連動しながら定まることに注目して、具体的に二つの平面の交わりである直線を考えることができる。
その後、固定するものをsからtに変えると違った直線ができるのでそれらの交わりである点が一つに定まることがいえる。
式に頼らないでやるとなると少し発想が要求される。この辺の部分が難しく感じた。

別解では問題文の意図に逆らって平面LMN上にある点が満たす条件から議論を始めている。
示せる順番は逆になるものの、解法としてはこちらの方が分かりやすく、答案も自分が考えたことが表現しやすい。
よい発想が浮かばなければ自分の知っている条件(今回の場合では点が平面上にある条件)から議論を進めるのは自然なことであると思う。

解答

(1)の別解