数学とロジカルシンキング
松谷です。
今日は、数学力の行きつく先の一つとして、ちょっと変わった話題を。
社会人においては、問題解決力、創造力、コミュニケーション力などが問われるといわれています。
そのなかで、問題解決と創造のベースのひとつとなるものに、論理的思考力というものがあります。
そして、論理的思考が大事ということを認識しており、新人教育をしっかりするような大手の会社では、社員の論理的思考力を鍛えようと腐心します。
僕も、前職の会社で、そういう腐心の一端を経験しました。もう10年くらい前のことではありますが、ロジカルシンキング研修(論理的思考研修)というものを受けました。
どういうものかというと、学校の勉強的な数学のような課題ではなく、現実的な企業や個人が抱える課題に対して、ロジカルに考えることで、本質に迫っていき、より確度の高い解決策を思いつけるように訓練しようというものでした。
たとえば、
「コーヒーショップA店の売り上げを上げるにはどうすればいいか?」
というような課題を考えていくのです。
いろいろな考え方はありますが、その研修でならった基本的な思考フレームは、
「物事を掛け算もしくは足し算によって漏れなく分解して」、「その中で問題となりそうな対象を絞って」、「その原因に対する仮説を立てて」、「解決策を考えて検証する」
というものでした。
上の「コーヒーショップA店の売り上げを上げるにはどうすればいいか?」という例だったら、
例えば、A店の売り上げを
①午前の売り上げと②午後5時までの売り上げと③午後5時以降の売り上げ
に漏れなく分割します。(これは足し算した時に全体に一致するような分割です。)
そして、例えば①に問題がありそうだと思ったら、今度はそれを、例えば、
🅰顧客単価、🅱顧客数
に分割します。(これはかけ算をした時に全体に一致するような分割です。)
これで、顧客数が、著しく悪かったとします。そのときは、午前の顧客数に原因を絞って考えます。
顧客数が減ったのは、朝の通勤前の忙しい時間帯なのに、コーヒーやモーニングメニューの提供時間が長すぎるから顧客が減っていってしまったのではないか。とかモーニングメニューに人気がないからではないか。などと仮説を立てます。
そして、実際それをもうちょっと調べたうえで、提供時間に問題がありそうとなったら、その時間帯だけアルバイトさんを増員したりします。増員したら~~~のように効果があるはずだという風に予想しておいて、実際の結果を検証して、もし、効果が薄かったり、結果が出なかったりしたらまた次のこと試すといった具合です。
さて、ここまでだったら、何かまだ机上の空論間も漂っている気もします。研修受けていてもそんな感じもしました。新人社員にこんなに経営的なところにつっこむような定量的な分析をする機会もないしなぁと思いながら。しかし、この考え方は実は世の中のどんな題材にも使えたのです。
例えば、「僕は学校への遅刻が多い」というような定性的な課題を解決しようとするときにも使えるわけです。
例えば、「遅刻を月、火、水、木、金、土の曜日ごとに分けます。」「もし、火曜日の遅刻が多いとしたら、火曜日に絞って考えます。」「そして、例えば、月曜の夜から火曜の朝までの行動を時間帯ごとに分解し、月曜の23時から『月曜から夜更かし』という番組を見てそのあとに結局25時まで起きているため、次の日に起きるのが朝遅くなり、それなのに、学校の準備を朝からしか開始していないため遅刻することが多いと分かったとします。」「一つの解決策は、学校の準備を前の日の夜にすることかもしれませんし、もしかしたら、『月曜から夜更かし』は、布団に入りながら見ることみたいな解決策が出るかもしれません」「あとは、それを試して検証していく」ということで改善が図られていくわけです。
この研修を受けたとき、僕は、なかなかすっきりした考え方で好きだなと思ったものでした。
で、ここからが本題なんですが、実はこの研修を受けているとき、ほかの研修受けている人より明らかに自分は得意でした。
これは僕が頭がいいとかそういったことを言っているわけではまったくありません。
他に同時期に3つくらい研修があったのですが、それに関しては凡庸な感じだったのです。なのに、なぜこの研修だけ得意なんだろうと不思議だったのです。そこで、ほかにこの研修で得意な人としゃべったら、実は、皆数学が得意もしくは、ある程度しっかり勉強していたのです。
今、考えると、このロジカルシンキングがある程度得意だったのは、数学をある程度しっかり勉強したからだと、確信を持っていえます。
なぜなら、うえに出てきた、「事象を漏れなく場合分けして、絞って考えること。」「実験したりしながら仮説を立てて検証していくこと。」これらは、完全に数学の授業中にやることだからです。
2次関数などでの場合分け。確率や場合の数などでよく出てくる漏れなく数えるやり方。整数問題や数列の問題で出てくる仮説を立てながら検証するという考え方。これらはまさに上のことそのものだと言えます。
つまり、数学をしっかり理解しようとしてきたかとロジカルシンキングの力の相関はものすごく高いのだと思います。
数学の学問内容自体(ベクトルとか積分とかいったもの)は、社会で使わくなる人が多数なのは確かだと思います。
ただ、こういった論理的な思考の仕方、合理的な判断、というのは、必ず、社会で役にたつと思います。
そして、個人的には、むしろ、これらの力がない人は明らかに、話に説得力がなかったりするのではないかと思います。
今、流行の林修先生とかも現代文の先生ですが、数学は全国模試で1位とかだったそうです。話がわかりやすいと思うのは、そういうところから来ているのではないかなと思います。
ということで、皆さん、数学楽しく頑張りましょう!