独習中学数学について

水槽に水を毎分2リットルずつ3分間ためると6リットルたまります。これが 2×3=6 に対応しています。

水槽から水を毎分2リットルずつ3分間抜くと6リットル減ります。これが (-2)×3=-6 に対応します。

じゃあ、(-2)×(-3)=6 はどんな状況に対応した式でしょうか?

それは「水槽から水を毎分2リットルずつ抜いていくとき、3分前は6リットル多く入っていた」といったところでしょうか …

「後ろ向きになって後ろ側に進めば前に進んでいることになる」というような説明もあります。

 

以上は松谷君に教えてもらった内容です。

私自身は分配法則が成立するための要請として (-1)×(-1)=1 が約束されたと習いました。

つまり (-1)×{(-1)+1}=(-1)×0=0 ですが、 (-1)×{(-1)+1}= (-1)×(-1)+(-1)×1=(-1)×(-1)-1 ですから (-1)×(-1)-1=0 すなわち (-1)×(-1)=1 です。

 

「独習中学数学」の説明として、どんな説明がいいのでしょうねぇ …

正直言って迷います。

 

まあしかし、私が見るに思歩が書いた「独習中学数学」の説明は分かりやすく、しかも実戦的です。

そもそも「算数と高校数学の橋渡しとしての中学数学を、無駄を省き最短距離で伝えつつ、高校数学に入ってから十分に理解していけるような基礎を作る」という目標で書いています。

要するに、高校数学から中学数学を見ているというところが「独習中学数学」の特徴です。

高校数学でつまずく子の多くは2つの特徴をもっています。まずは「代数の基礎が弱い」です。ある生徒を見ていて単純な計算でのミスが出るとか、問題文での設定が数式に直せない場合、代数の基礎が弱いと感じます。それから「幾何での思考のトレーニングがなされていない」も高校数学でつまずく子の特徴です。数学の問題では 1. 条件と 2. 結論が与えられていて、この2つをつなぐことを「問題を解く」と言いますが、この思考をトレーニングする材料として幾何は最適です。少し難しい問題になると、簡単に 1. 条件と 2. 結論をつなぐことができず、補助線を引いてみたりして試行錯誤の中で解法を見つけ出すのですが、これが鍛えられていないと高校数学の問題を前にしてまるで動くことができません。

高校数学に比べて中学数学では覚えるべきことが少なく、深く理解していなくてもやり方だけを知っていれば点数が取れます。しかしそういう点を取るための勉強をしていては高校数学に入ってから苦しむことになります。

「独習中学数学」を通して、高校数学に入ってからも伸びていける基礎を作りたいと思います。そういう意味で実戦的です。

それから、算数を早く終えた小学生が読んでも理解できるように、分かりやすく丁寧な説明を心がけています。

高校受験のための本ではないし、単なる入門書でもない、ちょっと変わった本です。

 

まだ完成には時間がかかりますが、来春の出版を目指して頑張りたいと思います!