本の出版
昔、何かのビジネス書で「今は名刺代わりに自分が書いた本を渡す時代だ」という説明を読みました。そうなのかと思い、当時塾生向けに書いていた「塾長奮闘記」というエッセーを集めて、何人かに読んでもらいました。
まあ、おおむね肯定的な反応だったので、本気で書いてみる気になりました。
しかし、書いてみたのはいいのですが、その後、本を出版することの難しさを知りました。
企画書や原稿をいくつかの有名な出版社に送ってみて、ほとんど相手にもされなかったので、送る範囲を30社ぐらいに広げてみました。
ダメでした。
ネットで調べまくって100社ぐらいに送ってみました。
やっぱりダメでした。
そうしているうちに、そのような原稿はひっきりなしに出版社に届き、大体3000に1つぐらいの割合でしか採用されないということを知りました。持ち込み原稿はほとんどゴミ扱いされるそうです。
こりゃダメやわ、と思いかけていたときに東洋出版の副編集長という方から電話がありました。聞いてみると、この方は将棋ファンで、とりわけ文吾ちゃん(福崎文吾九段、私の奨励会時代からの友だち)のトークが大のお気に入りだったそうです。ちょうど「小さな数学塾のヒミツ」の原稿の中にも奨励会に在籍していたころの話題が含まれていますし、文吾ちゃんに推薦文を書いてもらっていたので、目についたようです。
そして、面白いと!
まあ、ここで出版できたのは奇跡的だと思いました。
「稲荷の独習数学」のときも大変でした。
最初の本のときに苦戦したことによる学習から、単騎で乗り込んで行っても見てもらうことさえできないことが分かっていたので、東洋経済に載った取材記事のライターの方に編集者を紹介してもらうことにしました。講談社のブルーバックスです。
そんな有名なところから出せれば夢のような話ですが、実現の一歩手前でぽしゃりました。ブルーバックスは「鉛筆を持たないで読める本」を目指しており、私は純粋な学習参考書にしたかったのでうまく折り合いがつかなかったのです。
残念。
すると急に道が険しくなりました。
それに結果として576ページの本になったので、原稿の量も相当なものです。もうはっきり覚えていませんが5年ぐらいかけて書いたと思います。これぐらいの量になると、人にチェックしてもらうのも校正することも大変です。
今、この本を反転授業で使うようになって、こうしておけばよかった、ああしておけばよかったというようなところがいくつか出てきますが、おおむね合格点ではないかと考えています。
それで今、思歩が「独習中学数学」を書いています。まず彼女が原稿を作り、それを私がチェックし、内容をよくするためのいろんな意見を書き込みました。それを元に思歩が原稿を修正している段階ですが、何と言っても量が多いので作業が簡単には進みません。
それに原稿ができた後の出版社探し …
うまくいきますように!