コンピューターに学ぶ

実はこの1月1日より二十数年ぶりに将棋を再開しました。

12月31日にアマゾンで「激指」を頼んだら何と1月1日に届き、それ以来ちょくちょくやっています。

激指

感想を一言で述べれば「驚いた」となります。

まあ、四段ぐらいまでだったら負けるはずはないと思っていたのですが、初っ端に手始めに相手のレベルを初段に設定してみたところ負けました。

まず、コンピューターはこちらが指したら間髪を入れずに次の手を指すので、こちらもノータイムで応じていたら見落としが出てしまったのです。

それからコンピューターの攻めが早く速いです。昔の感覚とまるで違います。

そういえば藤井君の将棋を見たときの感覚とよく似ています。普通は様子見とか軽いジャブから入るものだと思っていたら、いきなり殴りかかるというか、まず守りを固めてからなどという発想がまるでないように感じました。

それで近年のアマチュアのレベルが上がって来ていることの理由が分かったような気がしました。

テニスでもそうですが、強い相手と練習するということが上達の一番の近道です。でも、自分が弱いと強い人はなかなか相手してくれないのです。ところがコンピューターはこちらがどんな弱くても相手してくれるわけです。しかもプロ級の実力を持って!

これで鍛えれば強くなるに決まっています。

 

この前、テニスも20年前とはまるで違うということを書きました。トップ層のレベルが随分上がったように思います。

これにもコンピューターが関係していると思います。

昔だったら1レッスン数万円払わないと教えてもらえないようなプロの方がただでレッスンを YouTube で流しているのです。しかも、そのクオリティーの高いこと!

さらに検索範囲を広くして英語でのレッスンもオーケーとすると、驚くような情報がどんどんと飛び込んできます。

もちろんテニスの場合は理論に加えて実際にその球を打たないといけないので、将棋ほどコンピューターの影響がストレートに反映するわけではありませんが、昔と比べると明らかに有利になったと思います。

 

何かが変わろうとしていることを感じます。

 

松谷君の東大時代のテニスの仲間で稲田君という子が「AIを使って学習すればずっと効率よく学ぶことができ、そうすればもっと意味のあることに時間を使うことができるようになる」と主張していました。

そして「そういうビジネスを立ち上げたいんだ」と熱く語っていましたが、実際 atama plus という企業を作りました。駿台でも全国の教室でこのシステムを採用するなど、ビジネスは順調に成長しているようです。

考え方としては「いくつかの問題を生徒に解かせてみれば、どこが分かっていないかをAIが判定して適切なところから学ぶことができるように誘導してくれる」というものです。

個々の生徒のニーズに合わせてメニューを作るなどというめんどうなことは人にはできません。でもコンピューターなら平気でやるのです。

間違いなく学習効果は上がるでしょう。

 

でもその上に、問題がどこにあるかを自ら判定して、対処法を自力で考え出すという能力が必要であり、稲荷塾が鍛えようとしているのはそこです。

東大・京大が要求している内容も同じだと思います。

 

コンピューターを上手く利用すること。

その上で、人でしかできない能力を鍛える。

 

これからはこういうことが必要になるのじゃないかと感じています。