附属小学校について

私立の中高一貫校が附属小学校をもつ場合、その運営がうまくいっている小学校は全国のどこにもない、これは随分前から言われてきた内容です。

内部の小学校から中学校に上がる生徒より、外部から中学受験を経て入ってくる生徒の方が一般的に優秀で、その格差を埋めることが難しいというのがその理由です。

多くの場合、小学生の間に中学数学をするなど、いわゆる先取り学習でその格差を埋めようとしていますが、どのように先取りして有利な状況を築いても、外部から入ってくる生徒に一瞬にして逆転されてしまうそうです。

 

なぜでしょうか?

 

これはモチベーションの差だと私は見ます。

受かるかどうか分からない中で何とか合格しようと頑張って来た外部の生徒と、上の中学に上がれることが保証されている中で勉強してきた内部の生徒では勢いが違いすぎます。

ある小学校では外部から受験してくる生徒と同じ試験を課するということで、あたかも中学受験のための塾のような雰囲気を作りました。そして昨年、初めてその小学校から中学校への内部進学生を送り込みましたが、小学校内でほぼトップの成績を取っていた生徒でさえ外部からの合格最低点を下回りました。中学に入ってからも、小学校から上がった生徒の方がずっと人数が少ないのに、補習に残される人数は小学校から上がった生徒の方が多いといいます。

これではまずいじゃないかという声が中学校から小学校へ伝わります。しかし状況を改善するのは容易ではなく、このジレンマの中で6年生の担任がこの1年間で2人も辞めてしまったと聞きます。

 

どうすればいいのでしょうか?

 

私が考える改善点は2つです。

1つは附属小学校から上の中学に上がるという前提を取り外すことです。小学校入学時にどのようなテストをしても、校風に合う生徒を選別することはできません。それに、仮に潜在的な面でマッチする生徒が選べたとしても、小学生の6年間でその子の方向性がどのように変化するかという振れ幅は非常に大きいので、こうでないといけないと決めてしまうことがいいとは思われないからです。

もう1つは基準を変えるということです。「同じ中学受験の問題ができるようにする」では、上に書いた通り、内部と外部ではモチベーションが違い過ぎて、適切な基準だとは思われません。そうではなく、新しいことを知りたいという知的好奇心だとか、本質的な理解能力にフォーカスすべきです。

 

新しいことを知りたいという知的好奇心だとか、本質的な理解能力、こういう学力の基礎があれば、今点が取れるかどうかには関係なく、その子は伸びます。

同じようなことが中学受験と高校受験の関係でも言えます。

中1の段階では中学受験をした子の方が学力は圧倒的に上です。ですが、中学受験をした子はそこでモチベーションは下がり、勉強量も落ちます。一方、高校受験をする子はそこから徐々に学力を上げていきます。そして望みの高校に受かった場合は、そのままの勢いで大学受験に向かって頑張ることが多いのです。結果として高2ぐらいの段階で、中学受験をした子か高校受験をした子かどちらが優秀かが分からなくなります。結局、受かる子は受かります。

これを見ても分かる通り、小学校のときに先行したかどうかはほとんど意味を持ちません。

もっと重要なことがあるのです。

 

では、その「もっと重要なこと」とは何でしょうか?

それについてはまた後日、書くことにしようと思います。