「特別クラス」について

高校過程:数ⅠA、数ⅡB、数Ⅲ全部を1年で学ぶことができるか?

これに対する答えは「イエス」です。

それで、今年度から「特別クラス」を作りました。新高1生を対象に高校過程を1年で学ぶクラスを作ったのです。

 

そもそも、一般の数学の授業は無駄が多いです。板書し、それを生徒がノートに写し、それから説明が始まるのですが、この「板書し、それを生徒がノートに写し」という作業の時間が授業時間の半分を占めるのです。

もっと効率のよい授業をしようと思えば、教師側にとんでもない準備の負担を強いることになります。

ですから、「効率」を重視する学校ではチャートなんかで生徒に予習させて、そこから授業を始めようとしています。

ただ、「チャートを使って予習」は思いっきり難しいです。なぜかというと、そういう目的でチャートが作られているからではないからです。チャートはできる限り多くのパターンをベタで紹介しているだけです。

「どこが重要で、それを理解するためにはどのような順序でどのように学べばよいのか」を考え抜いて作らないと、予習用のよい参考書にはなりません。

ということで、「チャートを使っての予習」は大変です。

じゃあ、適切な教材を準備すればいいじゃないかということになりますが、これは「教師側にとんでもない準備の負担を強いる」ことになるのです。

 

稲荷塾には「稲荷の独習数学」があります。

これなら「予習」が可能です。

 

反転授業を始めるまでは2時間かけてテキスト1ページを説明していました。その授業で話していたことを整理し、まとめたものが「稲荷の独習数学」です。つまり、これを読んでくるということは授業を聴いたのと同じことです。すると「板書も、それをノートに写す」という作業が要らなくなります。もうそこに書いてあるからです。ですから2倍進むようになりました。

ただ、読んだだけで授業に来ると、まるでできるようにはなっていませんでした。

「分かる」と「できる」は違うのです。

だから「稲荷の独習数学」を読んで分かったなら、テキストの問題を2ページ解いて来るということが予習になりました。

問題を解こうと思うと、分かったはずのことが「どうするんだったっけ?」とか「何だったっけ?」というような疑問にぶつかり、もう一度「稲荷の独習数学」の説明に戻らざるを得なくなるのです。

こうして、「分かった」上に基本的なことは「できる」という状態にして授業に参加します。そこから本当に「できる」ようになるための授業をするのです。

で、この予習にどの程度の時間がかかるのでしょうか?

平均的に1日に30分です。

1日に30分の予習をこなせば、半年で数ⅠAや数ⅡB、数Ⅲをこなしていけます。

結果として1年半で高校過程を学ぶことができるのです。

これが稲荷塾の反転授業です。

 

ここで疑問が生じます。

じゃあ、1日に45分ぐらい予習すれば、その1.5倍進み、結果として1年で高校過程を終了させることができるのか、と。

 

これが「特別クラス」です。

できるのです。

 

少し、実際のところをお話しします。

稲荷塾の反転授業はすごいのですが、中学生が半年で数ⅠAを身に着けることは難しいです。

こちらが想定しているレベルで予習して来れる中学生は非常に稀です。ほとんどの子は予習が甘く、小テストの点数も満足には取れません。そして単元テストで合格点を取ることもできません。

単元テストの合格点は50点で、それは河合の全統模試で偏差値70ぐらいのレベルです。

十分でなければ、半年後に次の数ⅡBに進まずにもう一度数ⅠAをします。そうすると、2回目は1回目に頑張ったことが下地となり、「想定レベル」に到達することが多くなります。

中学生はそれでいいのです。

しかし、高校生になってから数ⅠAを学び始めるような子の場合は、それではダメです。しっかり半年で一つ一つを仕上げていかないといけないのです。

まず、小テストでそこそこの点を取る、そして授業時間内に補充プリント2枚を仕上げるという繰り返しの中で、単元テストで50点以上を取ることができるようになるのです。

しかし、言うは易し、行うは難しというわけで、授業時間内に2枚の補充プリントを仕上げる生徒は極めて少ないです。

それどころか、小テストの直しが授業時間内に終わらずに、場合によっては10時までかかったというようなことも起こります。

 

まあ、そうしながら少しずつ成長しているわけですが、土曜日の「特別クラス」では、補充プリント2ページどころか、補充プリント3ページを2時間の授業時間内に仕上げた生徒が3人も出ました。

当初「特別クラス」は3人限定で募集しましたが、希望者が多かったので、時間帯をずらしながら7人受け入れることになりました。そのうちの3人が2時間で小テストの直し、補充プリント3枚をこなしたということです。もう少し言えば、1時間ちょっとでやってしまった子もいて、ちょっとびっくりしました。そして7人全員が3枚の補充プリントを終えてから帰りました。結構時間がかかった子もいますが …

まあ、「特別クラス」はいい企画でした。今後が楽しみです。