みかづき

本を紹介します。

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これはすごいです。

家内に勧められるまま読みましたが、昨日のすべてが飲み込まれてもやめることができず、一気読みでした。抜群にストーリー作りが上手く、もちろん言葉、表現が豊かです。そして何と言っても、考えさせられました。

塾がらみの教育問題、家族関係をテーマにしているので、私にとって身近な話題が多かったことも一つの要因かも知れませんが、是非お勧めしたい一冊です。

ただ、どちらかというと少し左翼的観点に立っていて、私の主張とは異なる部分もあります。ですが、補習塾をめぐって話が展開され、母子家庭支援のボランティアの話題もあり、そうならざるを得ない面もあり、私にとっては違う立場からの意見も新鮮でした。

 

たとえば、「ゆとり教育」を主導した教育課程審議会の会長談を次のように伝え、批判しています。

「学力低下は予測し得る不安と言うか、覚悟しながら教課審をやっとりました。いや、逆に平均学力が下がらないようでは、これからの日本はどうにもならんということです。つまり、できん者はできんままで結構。戦後五十年、落ちこぼれの底辺を上げることにばかり注いできた労力を、できる者を限りなく伸ばすことに振り向ける。百人に一人でいい、やがて彼らが国を引っ張っていきます。限りなくできない非才、無才には、せめて実直な精神だけを養っておいてもらえばいいんです。

日本の平均学力が高いのは、遅れてる国が近代国家に追いつけ追い越せと国民の尻を叩いた結果ですよ。国際比較をすれば、アメリカやヨーロッパの点数は低いけれど、すごいリーダーも出てくる。日本もそういう先進国型になっていかなければいけません。それがゆとり教育の本当の目的。エリート教育とは言いにくい時代だから、回りくどく言っただけの話だ」

う~む。

これには多くの人が反発するでしょうねぇ …

私も反発します。

でも、反発の種類がちょっと違います。

「ゆとり教育」によって、学力上位層がわくわくするような教育が展開されたわけではないことを私は問題にしています。底辺層も悩んでいますが、優秀な子も悩んでいるのです。

 

まあ、今回は私の主張ではなく、本の紹介です。

467ページ、1850円。ちょっと高いですが、いいと思いますよ。

松谷君にも渡し、彼が読み終わったら塾の貸し出し用本棚に置きますので、しばらく待ってもらえば借りることもできますし。