ちょっと数学

雨の中、バイクでジムに行って来ました。

時速30キロだと雨が顔に当たっても痛くありませんが、時速40キロになると痛いです。

この時速40キロを秒速に直すと10メートル強です。

じゃあ、秒速500メートル、つまりマッハ1.5ぐらいの雨だったらどのぐらい痛いでしょうか?

 

実は痛くないです。

 

なぜかというと、こんな雨に当たったら即死するからです。

水の勢いで金属を切る旋盤がありますが、あれはマッハ2で水を吹き付けています。そうすると、厚い金属が紙でも切るかのようにすっと切れていくのです。

https://www.youtube.com/watch?v=D40PZtuKGtg

 

なんでこんなことを言っているかというと、もし空気抵抗がなかったら、そういう速度の雨が降ってくるのです。

雲の高さは大体5000メートルから13000メートル上空にありますが、たとえば12500メートル上空からの雨だと50秒後に地表に届くことになり、このときの速度が秒速500メートルになる計算です。

一応、中学、高校ではこのように習っています。

 

しかし、そのようなどんどん加速してくる雨を見たことがありません。

雨はしとしとと等速運動で落ちてくるのです。

 

なぜでしょうか?

 

これを理解するためには、運動方程式と微分方程式を学ぶ必要があります。

まず、運動方程式 F=ma は原因と結果の式です。

つまり、F という力が加わって、それが原因で m という質量の物体に a という加速度が生じると主張しているのです。

昔は力に比例して速度が生じると考えられていました。

強い力を加えれば物体は速く動くので、あながち間違っていないようには思えますが、後に力に比例するのは速度ではなく、加速度、つまり速度を微分したものであることが分かったのです。

とすると、運動方程式 F=mv’ は微分方程式です。

では、地表付近ではどのような力が物体に働くのでしょうか?

まず、重力 mg です。

もしこれだけだったら、運動方程式は mg=mv’ つまり g=v’ となり、等加速度運動をするので、雨が降るたびに大惨事が起こることになります。

 

では、一体このほかにどんな力が物体に働くのでしょうか?

 

それは速度に比例する粘性抵抗です。

要するに、速く動けば動くほど空気の抵抗を受けるのです。

結局、運動方程式は mg-kv=mv’ となります。

 

これを解くと、雨は地表付近で等加速運動ではなく、等速運動することが分かり、雨はしとしとと降ってくるのです。

 

めでたしめでたし。