演習に入るにあたって
上半期も最終盤になりました。
数Ⅲの授業も昨日を含めて残り2回です。
そして彼らはその後、演習1のクラスに入ります。
ということは、高校過程をもうあとわずかで終了するわけです。
当然、相当のレベルに到達しているに違いありません。
のはずでしたが、まるでそんなことはありませんでした。
覚えるべきことが全然覚えきれていません。
そこで、稲荷塾版数ⅡB公式集を渡し、「これを1日で覚えるように!」と言っておきました。
表紙と目次を入れて18ページだったと思います。
まあ、英語の単語を覚えるのと比べて圧倒的に楽です。
こんなものを覚えていないで演習しても、効果は半減します。
演習は知っていることを使えるようにするためにあるのであって、何かを覚えるためにあるのではありません。
ここで少し宣伝しておくと、稲荷塾の演習のクラスはよくデザインされていて、とにかく伸びます。
基本コンセプトは『「分かる」と「できる」は違う』です。
多くの諸君の演習は「分かった!」で終わります。
しかし、それではなかなかできるようになりません。
通常の授業では、こちらがいかに熱弁しても、記憶に留まるようにと強調しても「おもしろかった!」ぐらいで終わってしまうのです。
もちろん、できるようにはなかなかなりません。
それはもう、悲しいぐらいです。
それで、なんとか「できる」ようにならないものかと工夫してきて今日の形ができあがりました。
まあ、もちろん生徒はこちらの工夫に気付いてはいないと思いますが、「分かったと思っていたけど、甘かった。まだ、できるようになっていなかった」という気付きをたくさん与えるようにデザインしているということです。
しかし、
最低限の知識なくして演習に入っても、効果が出ないのです。
だからまず、最初に知識を入れてしまうのがいいのです。
ということで、数Ⅲが終わろうとしている諸君に数ⅡB公式集を渡しました。
これをもらって喜んでいてはいけません。
一つ一つチェックしながら完全に覚えきってほしいです。
内容は3つに分かれています。
単に覚えておけばいいもの「暗記」、それが出てくる過程を示すことができる状態で覚えておかなければならないもの「導出」、証明できるという前提で覚えておかないといけないもの「証明」の3つです。
たとえば半角なら、加法定理から導ければよいので「導出」です。加法定理は「証明」です。
「おっ、加法定理は覚えているけど、証明できないな」となれば、すぐに復習です。
こういう作業をがっと詰めて、1日でやってしまったらいいと思います。
それだけでも、がんと一気に一段階レベルが上がるはずです。
まあ、何をするにも刺激的に意欲的に取り組むのがいいですね。