小さな数学塾の役割

この頃よく息子のアッシー君になっています。

それで、何となく京大生を見ることが多いような気がします。たとえば京大宇治キャンパスなんかに行けば、そこらじゅうに京大生がいますし。

それで思うのですが、いくらでも勉強の方法はあるのだなと。

つまり、勉強のベストの方法を探すなどと言って肩を張っても意味がないと感じるのです。そうではなく、稲荷塾を選んでくれた塾生が「ベストの選択だった」と感じてくれることこそが重要なんだと。

ですから、稲荷塾はあくまでも「小さな数学塾」としての役割を果たしたいと思います。「京大生のうち、何割が稲荷塾出身」というようなことを目標とはしないということです。

 

さて、稲荷塾小学生部から中学数学のクラスに進むと、高校受験をどうするかという問題に直面します。

中2から高校数学に入り調子よく進んでいても、中3のどこかで別のベクトルが生じるのです。

要するに、高校数学を飲み込んでいく努力はもちろん大学受験には必要ですが、それが目前の高校受験には直結しないのではないかというジレンマです。

当初は、そんなものは無視しろ、と叫んでいました。高校なんてどこに行っても大差ないぞというわけです。だから行けるところに行けばいいし、幸い京都教育大附属というとてもいい学校の人気が下がり、フリーパスに等しいぐらいに入り易くなっているので、そこに行けばいいと主張していたのです。

実際うちの娘も息子も高校受験の勉強は一切しませんでした。

おっと、息子は中3の10月に突然灘を受けると言い出して2、3ヵ月の受験勉強をしました。まあ、そういう付け焼刃では英語だけはどうにもならず、結果は完敗でしたが。

それはそうとして、基本的考え方としては「高校受験のために高校数学の勉強を中断するのがもったいない」ということだったのです。

それで結局、テニスの指導で有名だった川地先生(カワチム)に誘ってもらって娘も息子も山城高校に行きました。

でも、最近は少し考え方が変わりました。

一つは、「人はその集団の平均レベルに影響を受けやすい」ということです。つまり、一生懸命に勉強するのが当たり前だと考えているグループに属せば、自然と背中を押してもらえる状況になるのです。

そういう意味で、高校の3年間を過ごす環境として、少しでもいいところを選ぼうとするのはもっともだと思うようになったのです。

もう一つ重要なことは反転授業を始めたことです。

これにより、焦る必要がなくなりました。

何と言っても、半年で数ⅠA、数ⅡB、数Ⅲのそれぞれが学べるので、仮に高校に入ってから数ⅠAを始めたとしても帳尻を合わせることが出来ます。ということは中学の間に数ⅠAだけでも終わらせておけば断然有利になり、必ずしも数ⅡBまで手を出さなくてもよくなったのです。

そういうことで、最近では中3のどこかで一旦退塾して、高校に受かってから復活するのが主流になりつつあります。

 

それから似たような話で、中学受験のために一旦塾をやめて、受かってから中学数学のクラスに復活するという子も出てこようとしています。

「頭のいい子には中学受験をさせるな」などという本を書きましたが、私立中学が悪いと言っているわけではありません。

そうではなく、中学受験のために詰め込もうとする塾のやり方や拘束時間が異常に長いことが問題だと主張しているのです。

ところが聞くところによると、拘束時間が長いのは関西の特長だそうです。

関東はそれほどではないし、さらに、四谷大塚のウェブ授業を用いれば、塾に行く必要もないというのです。

そうすると普段の家庭学習の延長で中学受験ができてしまうし、いい中学に受かれば、上に書いた通りその平均レベルが高いので、充実した中学・高校生活を期待することができるというわけです。

そういう流れの中で、今年は6年生になってから中学受験をすることを決めた塾生が2人出ました。

そのうちの1人はある時点から中学受験のための塾に移りました。

頑張っているようです。そして昨日、使わなくなった四谷大塚の教材(予習シリーズ)があるからと言って、彼のお父さんがそれらをドバッと持って来てくれました。参考資料としてあればいいなと感じていたときだったので、とても助かります(必要だけど、買うほどのものかと躊躇していたのです)。

 

今後、中学受験をする子が増えるかどうかは分かりません。

でも、算数が終わってから中学数学に入るための準備として中学受験の算数をすることが増えるのは確実です。特に3年生や4年生の段階で算数が終わってしまった子は算数で頭を捻るのがいいと思います。

 

いずれにしても、稲荷塾は「小さな数学塾」として個々の生徒柔軟に対応しつつ、「やっててよかった稲荷式」なんて言われるようになりたいです。