採点

今受験生たちは直前演習をしています。

ここでは問題を解く能力を高めると同時に、解答の書き方、部分点の取り方、時間配分の仕方等もブラッシュアップすることが目標になります。

ですから普段以上に採点は丁寧にし、アドバイスを書き込んだりします。

そのことに関連した内容を書こうと思います。

解答は自分が考えたことを採点者に伝える作業です。そういう意味で論文とは違います。

つまり、正しければいいというわけではないということです。

たとえば定義域付き二次関数(x^2 の係数は正)の最小値を考える場合、軸の位置が定義域内に含まれるからそこで最小値を取ると回答したとして、それを記述しなかったら、しっかり考えた結果その結論に至ったのか、定義域のチェックを怠ったけれどもたまたま正解したのか、採点者には判別できません。

結局、記述していなければ、仮にしっかりチェックしていたとしても、不備のある答案として処理されます。

それから採点者も人間だということを知っておきましょう。

つまり正解に対する印象は大きいです。もし最終的な答えが合っていれば、それまでの記述が甘くても、あるいは下手でも、どれどれ … とどのように考えたかを読み取ろうとします。

しかし、最後の答えが間違っていて、記述がいい加減だと、どうせいい加減な処理をしたんだろうと思ってしまうのです。

これは特に模試では顕著で、基本的に大学生がアルバイトで採点するので、ほとんど合っていても点数がもらえないということがあります。あるいは採点する大学生がその冴えた解答を理解できなかったからぺけになったという例もいっぱいあります。

大学入試では、そこまでいい加減に採点されることはありません。しかしやはり採点するのは人間なので、字だとか、書き方で先入観をもってしまうということは起こり得ます。そして答えが違っている、ごちゃごちゃしていて読みにくい、しっかり記述してなくて、何を考えているのかが分かりにくい、となれば、見てもらえないということが起こったとしても不思議ではありません。

昨日も演習数Ⅲが終わって、演習2の問題をみんなが解いている間に演習数Ⅲの採点をしました。

時間がない中、急いで採点していることもありますが、どうしても判別できない答案がありました。ちょっと変わったやり方を採用していて、途中までは合っているのですが、答えが違いました。そのちょっと変わったやり方がしっかり記述されていないので、どのように考えてその式に至ったのかを理解するのに苦しみました。何とか解読して、それが合っているということが分かったのですが、その後の長い計算のどこにミスがあるのかをチェックする時間がありませんでした。仕方がないので、6割の点数を付けて、計算のチェックを松谷君に頼んで、教室に入りました。それで結果はどうだったのかと言えば、非常に些細なミスだったのです。通常ならば8割の得点になっていたでしょう。

こういうことがあり得ると思うのです。

ましてや、採点者は答案の主と人間関係がありません。答案の雰囲気から来るイメージで、その子がしっかり考えているかそうでないかを判断してしまうということがあったとしてもおかしくはないのです。