松谷君 part2

昨日、松谷君の紹介をしましたが、「頭のいい子には中学受験をさせるな」(メディアイランド)の37ページにも彼のことを書いている部分がありましたので載せておきます。ここではT君が松谷君です。

 

中高分離型より中高一貫校、一般の中高一貫校より「灘型」
カリキュラムを考える上で、中高分離型より中高一貫校の方が断然有利であることはこれまで述べてきた通りで、これは一般に認知されつつありますが、さらに通常の中高一貫校のカリキュラムより「灘型」の方が良いということについては、まだあまり知られていません。
ここで、稲荷塾卒業生のT君の声を紹介します。
T君は洛星高校(京都市の私立進学校)から現役で東大の理Iに入り、大学院では仮想空間の技術を研究していましたが、卒業後はベネッセに勤めることになり、現在は高校生のための英語の教材を作っています。

その仕事柄「小さな数学塾のヒミツ」はT君にとってとてもおもしろかったようです。
「英語にはカリキュラムはあってないようなものなんですよ」
英語は数学以上にいろんな学び方があって、模擬テストの優秀者の欄を見ても、公立の子がトップだったり、相当にばらけています。それに対して数学は必ず灘の子が上位を独占するということで、どうしてなんだろうとずっと疑問に思っていたそうです。
「初めて分かりました」
T君は高1から稲荷塾に通い始めましたが、そのときはまだ「画期的カリキュラム」(「灘型」のこと)は実施する前で、洛星の進度通り彼は中3で数IA、高1で数IIB … と学び進めたのでした。彼の言葉の響きから「英語では負けなかったのに、数学だけは頑張っても頑張っても灘の子に追い付けなかったのは、能力の問題じゃなくてシステムの問題だったのだ」とすごく納得している様子が伝わってきました。T君はかなり余裕を持って理Iに受かったのですが、それでも数学では灘の子にかなわなかったことが悔しかったのだろうなぁと思いました。ともあれ、受験という競走を常にトップ集団に属しながら非常にうまく走り切り、そして今その受験のための教育の現場にいるT君が、稲荷塾の「画期的カリキュラム」を肯定的に評価したわけで、これは私にとって一騎当千の援軍を得たように感じました。(稲荷塾のホームページ上に連載している「塾長奮闘記」の中の「5.17 やっぱり画期的『画期的カリキュラム』」より)

実際のところ、高3になって受験勉強を始めてみれば、そして東大を受けるぐらいのレベルに来てみれば、「灘型」の良さがよく分かるようになると思います。そういう意味でT君には、私が主張していることがよく伝わったのだと感じました。
一般の中高一貫校のカリキュラムに対して「灘型」の方が圧倒的に有利であることは本当の話です。現場にいて感じるのは、中2から高校数学に入るのと、中3から高校数学に入るのとでは、丸1年余分に勉強するかしないかぐらいの差があるということです。

 

これの原文のエッセーも載せておきます。

 

やっぱり画期的「画期的カリキュラム」
昨年暮れ12月30日、卒業生のT君が遊びに来た。「損得勘定で動くな!」に引き続き、同じような書き出しになったが、「小さな数学塾のヒミツ」を書いてから卒業生からのアクセスは確実に増えている … 。T君は洛星から東大理Iに進み、大学院ではヴァーチャル何とかを研究していたらしい。
「何それ?」
「仮想空間の技術です。たとえばインターネットのショップでカーテンを見たとして、それを実際に触ってみた感じなんかを伝える技術を研究してました」
「えっ?! そんなんできるの?」
「できます …」
彼の説明はとても明快で、素人の私にもふ~んと納得させるものがあった。しかし、彼が言うには、研究した内容が実用化されるまでには30年、40年という年月を待たねばならず、自分が取り組んだことの結果がもっと直接的に反映される仕事がしたいと思ったことと、元々子供が好きで、中学生のときは学校の先生になりたいと思っていたこともあり、結局研究者になるのを止め、ベネッセに勤めることになったのだそうだ。 … いろいろと悩んだようだなぁ。で、結論は俺と同業じゃないか! …
そして今は高校生のための英語の教材を作る仕事をいているということだった。全然専門とは関係のない仕事をすることになったわけだが、彼には合っているらしく、とても楽しいと言っていた。そう言えば、高校生の頃から英語は得意で、マーク模試なんかでは大概200点満点だった。TOEICも990点満点中950点だそうな!
「へぇ~ 凄いやん!」
「いやぁ、誰でもとれますよ」
… そんなことはないだろう。そんな点数は身近では聞いたことがない。 …
まあ、いずれにしても、その仕事柄「小さな数学塾のヒミツ」はとてもおもしろかったらしい。
「英語にはカリキュラムはあってないようなものなんですよ」
英語は数学以上にいろんな学び方があって、模擬テストの優秀者の欄を見ても、公立の子がトップだったり、相当にばらけているらしい。それに対して数学は必ず灘の子が上位を独占するということで、どうしてなんだろうかとずっと疑問に思っていたそうだ。
「初めて分かりました」
T君は中3から稲荷塾に通い始めたが、そのときはまだ「画期的カリキュラム」は実施する前で、彼は中3で数IA、高1で数IIB … と学び進めたのだった。彼の言葉の響きから「英語では負けなかったのに、数学だけは頑張っても頑張っても灘の子に追い付けなかったのは、能力の問題じゃなくてシステムの問題だったのだ」とすごく納得している様子が伝わって来た。… かなり余裕を持って理Iに受かったのだが、それでも数学では灘の子にかなわなかったことが悔しかったのだろうなぁ。 … ともあれ、受験という競走を常にトップ集団に属しながら非常にうまく走り切り、そして今その受験のための教育の現場にいるT君が、稲荷塾の「画期的カリキュラム」を肯定的に評価したわけだ。これは私にとって一騎当千の援軍を得たような感じだ。彼が我が塾の卒業生だから私を応援する気持ちになり易いという点を差し引いたとしても、大きな意味があるように思った。
この日京都は記録的な大雪で、テニスをすることはできなかったが(彼は高校生のとき、テニス部の副部長だった)、ふと気付くとぶっ続けで5時間ほどしゃべりまくっていた。とても楽しい時間だった。(2011年1月5日)